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業を伝承する
僕たちが、この世界に入った時は練習なんて当たり前だった、
給与も時間も福利厚生なんてテレビの話だった。
今の世の中,理美容業界はとんでもないスピードで1部のサロンが
一般の企業に近づこうと必死になって,職場環境を良くしていっている。
これはとてもいいことだ。
そこを否定する気もないし
僕もそうしていっている1人だと自負している。
ただ,今の理美容師を可哀想(不幸)だなと思うことがある。
技術を、本質を、探究することをしないのだ。
世はSNS時代、見せかけの技術にペラペラの主観的技術。
10年後にはほとんどの理美容師は稼げなくなるであろうことが予測できる。
練習が悪になり、
即帰宅や自分の時間という、やらないといけないことから逃げ出す術を覚えた現代理美容師。
売上ばかりを追い求める金だけを見る理美容ビジネス経営者には正直練習は必要ない。
ただそれでいいのか?
と毎日のように僕は違和感を感じている。
過去
僕たちの修行時代は本当にいかれていた。
365日中330日以上は練習し1日3時間から5時間は練習していた。
社会保障もなく、僕の修行時代の最後にもらっていた給与は
今のうちの会社の初任給以下、もちろん冠婚葬祭の出欠さえ、いい顔をされなかった。
僕が唯一修行時代に我を通すべきだったと後悔しているのは、
成人式に行かなかったことだ、これは本当に後悔している、
まぁだからこそ今お客様の成人式に気合が入るのも事実だ。
結婚式も友達の結婚式には出れなかった。
当然のことだがスタッフにはあんな思いはしてほしくない、
結婚式も成人式もガンガン楽しんでほしい。
ただ古き良き習慣もあったのは事実なのだ。
これは絶対そうだと言い切れる。
現代の理美容師
今の理美容師は合格点を手に入れるため
表面のペラペラの技術を覚えさせられる。
なぜか?
店の都合だからだ。
一見、早期育成は楽しさとやる気を維持するためにいいとおもわされる瞬間がたくさんある。
しかし探究心という心は、もともと生まれ持った人間にしか経験できないものになってしまった。
これは職人が牙を抜かれたのと同じだと僕は思う。
可哀想だ。
「やりがい」
この言葉が最近の新卒は求めるものらしい。
少し前まで給与と時間と休み、社会的補償だった。
でもこれは今どの企業も当たり前になった。
今時、理美容で社保ついてないところに就職する子すらいなくなってきた。
今求められるものが
「やりがい」
なんて可哀想なんだ。
そんなの20年前は当たり前だったのに。
今の子達は昔の普通が欲しいのだ。
絶滅危惧種
少しだけ今年の自社の新入社員の話をします。
今朝テストをうけシャンプーマッサージを合格した子がいる。
この子が今日さらっとこういっていた。
『家帰ってウイッグで練習してよかった』と、
この子は前日夜練習もしていた、家に帰った後も練習していたらしい。
僕も修行時代、家の三面鏡の前に常にウイッグを設置し夜中目が覚めた時に練習できるように、
枕元には寝落ちするまで本が読めるようにスタイルブックが置かれていた。
高校の時にバイトでスーパーの惣菜売り場にいたときは
惣菜のバーコードの打ち出しを暗記するためファイルをコピーして
全商品コードを暗記していた。
あの頃はそれが普通だった、
今の時代はそんなやつはいねーと思い込んでいた。
別にそれをなんとも思ってなかったし、時代だと思っている。それは今もだ。
でも、やっぱりどんな時代でも見せかけじゃないやる気がある奴がいるってのを聞かせてもらった。
早く帰って自分の時間が美徳
実は彼女はそんな待遇をを前の会社で2年間受けていた
結果
2年でシャンプーしかできない子が育った。
数ヶ月前、まともに初めて会話をした時
先が不安だ、今まで何をしてきたんだろうと涙を流していた。
縁がありうちで働くことになった。
彼女は頑張り方を教えてもらってないだけで頑張る気持ちはあったのだ。
会社からすればシャンプーだけしてくれる子は便利だっただろう。
だがしかしその子の人生はどうなる?
本当にそれで職業人として育てたというのか?
彼女には3年で2年間を取り戻す覚悟がある。
僕らにもその覚悟がある。
ただそれだけだ。
職業人として生きる。
僕は技術職が人を喜ばすのに最終的に残るのは技術だと思っている。
もちろん笑顔も挨拶も接客も大きな要素だ。
むしろそれができている方が大体5倍ほどの集客ができるのも知っていての発言だ。
技術が下手でも接客ができれば人は喜び、その店を、その子をお客様は選ぶ。
それは統計が物語っているし真実だと思う。
だけど胸を張って自分は
技術職をしています。
と言えるのか?
理美容ビジネスをしたいならそれでいい。
むしろそれがマストだ。
いろんなサロンがあっていろんな会社がある。
全て正解だと思うし、否定する気はない、僕が正解だなんて思わない。
でも人1人をスタッフを預かる身として、
職人になりたいとその子が求めるのなら全てを伝承したい。
僕だけでは不十分だろう、それなら人脈という人脈を全て注ぎ職人にしたい。
僕の目指す『笑顔の共有』をしたい。
僕はまた1人素敵な原石を預かることができた。
やっぱり僕はついてるみたいだ。